うつ病の患者さんは、こころとからだに不調があるため、ちょっとしたことで不機嫌になったり、感情的になることがあります。そのため周りの人は、腫れ物に触るように、関わりを避けてしまうことがあります。しかし、本人は関わってもらうことが決していやなわけではありません。むしろ、実際には強い孤独感におそわれていて、内心では家族やパートナーなど親しい人が働きかけてくれるのを待っています。
このことを知っておき、常に温かく見守っていること、そばにいることを、言葉や態度で示すことは、周りの人にできる大切なサポートの1つです。患者さんにとって大切なあなたが、自分のつらさをわかってくれている・・・と感じるだけでも、患者さんの安心感は大きいといえます。
また、うつ病治療について正しく理解することも大切です。
うつ病の治療で使用される「抗うつ薬」には、脳内の神経伝達の乱れを改善する作用があります。憂うつな気分やさまざまな身体症状まで、うつ病でみられる多くの症状を改善する効果があります。ただし、薬を飲んだらすぐに効く・・・というわけではありません。ほとんどの場合、効き目はゆっくりで、効果を自覚できるまでに数週間かかります。また、症状がなくなってからも、薬を飲み続ける必要があります。飲んでもすぐに効果がないから、と薬を飲むのをやめてしまったり、自分で量を調整したりすると、その薬が本当に患者さんに合っているかどうか、飲む量が適切であるか、正しく判断することができなくなり、治療がうまくいかなくなります。
薬は正しく使ってこそ、十分な効果が得られます。患者さんが自己判断で薬を飲むのをやめたり、量を調整したりしないように、まずは家族やパートナーの方が治療の必要性を正しく理解し、患者さんの服用をサポートしてあげてください。